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パルテーノペを探して

皆さんから寄せられた文学作品

アマビエの後ろに現れたのは、白く透き通ったとても美しい少女だった。そのあまりの美しさにアマビエは驚きを隠しきれず、思わず「はじめまして、ベッランブリアーナ...」と静かに呟いた。

そこに現れたベッランブリアーナは、異国からやって来たアマビエの挨拶を喜んで歓迎しながら、優しく微笑み返した。

「初めまして。私は、ナポリの町に暮らしている人々の家を守る妖精です。光や影となって、昼も夜も町を出歩いては、大きな家や小さな家に入り込み、その家に幸福をもたらします。」

そして、とても心配そうな声で「みんな、一体何が起きているのか教えてもらえないかしら?ついこの間まで、大騒ぎしながら行き交っている大勢の人のせいで、落ち着ける場所が見つけられなかったのに、今は町に誰もいないの!もちろん、疲れてどこかの家に入り込めば、変わらず私のための席と暖かい食べ物は用意されているわ。でも、前のような幸せは消えていっちゃった。みんな疫病について話してばかりいるんだもの!」

ひどく心配そうにしているベッランブリアーナを見て、モナチェッロは滅多にないチャンスだ!と、なぐさめるように彼女を強く抱きしめた。でも、ベッランブリアーナは、すぐにそんなモナチェッロの思惑に気が付いて、彼の手を素早く払いのけた。

そして、アマビエはこう言った。

「私はアマビエ。疫病を終息させ、皆さんを助けるためにやってきました。でも、まずパルテーノペを探さなきゃ。残念ながら、彼女は消えてしまったみたいだけど。」

モナチェッロは、さっきベッランブリアーナに怒られたことにまだ少しショックを受けていながらも、こう言った。

「こげんこっしちょっ場合じゃなか。人々の中にパルテーノペが紛れてないか、探しに行こう!」

そして、かしこまった様子でベッランブリアーナにこう話しかけた。

「あなたのご命令に背く私をお許しください、お姫様!町には今も人が出ています。苦労している人たちを助けようと、たくさんの人々が努力してるんだ。食べ物が手に入らない人やものが買えない人のために、買い物を手伝っている人もいる。だから、ちゃんと頭の上を注意してなきゃ、(食べ物がない人のために)たくさんの食料が入ったバケツが色々な家からぶら下がっていて、そこに頭をぶつけてしまうくらいだ。」

ベッランブリアーナはモナチェッロに優しそうな眼差しを向けて、こう言った。

「その通りね、モナチェッロ。この町は、いつでも私たちを驚かせてくれるわね!でも、今はじっとしていられないわ。早速、パルテーノペを探しに行きましょう!モナチェッロ、あなたはこの町のあらゆる片隅や井戸、路地を知ってるわよね。私たちを案内してちょうだい!」

モナチェッロは、大きく胸を張って軍人のように強い口調で声をあげた。

「さあ全員で行進!最初の目的地は、オリヴェッラだ!」

そうしてモナチェッロ率いる小さなチームは、小坂を越えると、すぐにオリヴェッラ広場に到着した。

オリヴェッラ広場はひどく静かで、ベッランブリアーナとモナチェッロは数ヶ月前の広場の様子を、ずっと思い出していた。ほんの少し前まで、モンテサントカーニバルのパレードの準備で、みんな大盛り上がりしていたのだから。

しばらくすると、全員が広場の片隅の方から聞こえてくる物音に気づいた。そこには、膝までの長さがある白い靴下に、膝丈の赤いズボン。大きめのシャツに鳥の羽がついたナポレオン風の帽子を身につけた、少し滑稽な人が立っていた。

モナチェッロたちは彼に近づいて、彼の言葉を聞いていた。

「みんな見てよ!みんな見てよ!」

彼は、まるで歌を歌っているように、スティックで地面を叩いてリズムを刻みながら、続けた。

「あれはパッツァリエッロ!!陽気なことで知られている妖精だ!!」モナチェッロは驚いた様子で、大きな声でそう言った。

皆さんから寄せられたイラスト

Alla ricerca di Partenope - Capitolo IV
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